キリエ・レイソン 〜イスカリオテのユダを詠む〜

夕闇の迫るがごとき衝動に君の心は狂いはじめり

聖水(みず)をもて拭われぬるも君はまた泥溝(どぶ)に足を嵌め先を歩むか

君がため命も棄むというひとを離れて闇に姿を消(け)せり

過越の祭りの食事終わりしも君の戻らぬ空席(あと)の哀しき

跫(おと)もなくオリブ山に現じたる隊伍の前(さき)を君は歩めり

篝火に照らされし顔、顔、顔に死神のごとき君の貌あり

闇を秘す心を知りてなお君を「友よ」と呼ぶひとのあり

青白き月の光の映じたる二人の接吻、哀きわまれり

かけがえのなきを失いし君の掌(て)に三十枚の銀の冷たき

にべもなし己が仲間と頼みしは冷笑うかべ君を見捨てり

罪なきの血を売りし銀さきなみて君縊(くび)れたる、キリエ・レイソン

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日本キリスト教団 荒川教会 牧師 国府田祐人 電話/FAX 03-3892-9401  Email:yuto@indigo.plala.or.jp