ベツレヘムからの風の便り

 主がその民を顧み、食べ物をお与えになったということを彼女はモアブの野で聞いた。 

旧約聖書 『ルツ記』1章6節

 崩れていく人生設計

 ナオミは主の民から遠く離れたモアブの野で、独り淋しく取り残されてしまいました。どうしてこんな風に人生が狂ってしまったのでしょうか。すべては10年前の飢饉の時、神様の約束に対する希望を捨てて、自分の願望のままに歩み出してしまったからではないでしょうか。

 10年前、酷い飢饉の中、ナオミは神様に与えられた約束の地であるユダを離れ、家族でモアブの地にやってきました。そこには食べ物のたくさんあり、暮らしやすい場所で、しばらくの間は楽しい生活が続きました。その中で子どもたちも成長し、それぞれモアブ人の女性と結婚をしました。ナオミは幸せをかみしめて、「お父さん、思い切ってモアブの地に来て、ほんとうによかったわね」と話し合ったに違いありません。

 しかし、このような生活は長く続きませんでした。まず夫が死に、二人の息子も相次いで死んでしまいます。失ったものはもっとあります。自分がモアブの地に求めてきた楽しい家庭、心の平和、明るい希望、そのすべてを失いました。これが神様の約束を離れて、安易に困難を逃れる道を進んでしまったことの結果だったのです。

 ベツレヘムからの風の便り

 そんな時、ベツレヘムから風の便りが届きます。今やユダの地は豊作で人々が幸せに暮らしているというものです。

 この「ベツレヘムからの風の便り」は、ナオミの心に神様の恵みを思い起こさせ、「わたしのもとに帰っておいで」と呼びかける聖霊の便りでした。「ああ、ユダの地は祝福されている。それなのに私は、遠いモアブの野でポツンと取り残されている・・・」ナオミは後悔の念、そして望郷の念を募らせます。そして、「帰りたい」と強く思い始めるのです。

 みなさんのもとには、このような神様からの便りが届いていないでしょうか。

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