■ オルパとルツ
夫と二人の息子を失い、二人の嫁(オルパとルツ)とモアブの野に住んでいたナオミは、風のたよりに「主がご自分の民を顧み、食べ物をお与えになった」と聞きました。故郷からの風のたよりに「わがもとに帰れや」との神様の呼びかけを聞いた彼女は、住み慣れたモアブの地を後にしてベツレヘムに帰ろうと心を決めます。
ナオミは一人で帰るつもりだったに違いありません。ところが、モアブ人の二人の嫁は姑のナオミから離れようとしませんでした。一緒にベツレヘムに行くつもりなのです。
■ ナオミの説得
そんな甲斐甲斐しい二人の嫁に、ナオミは諭すように言います。「あなたたちはまだ若い。それにあなたたちはモアブの女性なのだし、こんな年寄りについてこなくていいから、自分の里に帰りなさい。そして良い人を見つけて再婚し、新しい人生を歩み出すのが一番ですよ」そして、最後の別れようとすると、二人の嫁は声を挙げて泣き、「いいえ、私たちも一緒に行きます」と、なおもナオミの後をついて行こうとするのでした。
そんなことを何度も繰り返しながら、三人の女性たちはベツレヘムへの道をとぼとぼと歩いていくのです。
■ 心を結ぶ悲しみ
三人をこのように固く結びつけていたものは何でしょうか。それは共通の悲しみです。姑は嫁たちを慰め、嫁たちは姑を慰めたことでしょう。悲しみを共にする人たちは、慰めをも共にするのです(2コリント1:7)。
聖書に「泣く者と共に泣きなさい」(ローマ12:15)という言葉があります。悲しんでいる友を慰めたいのならば、「元気を出しなさい」と言葉をかけることもいいのですが、それよりも何よりも一緒に泣いてあげなさいというのです。自分と一緒に泣いてくれる人がいるということに、人は愛を見いだし、慰めを見いだすことができるようになるからです。
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