『讃美歌』には一曲ごと頁の左肩に作詞者の名前と、小さな字で原詩の書き出しが書かれています。たとえば、この讃美歌には作詞者の名前はホレイシャス・ボナー、原詩の書き出しは"The
way, not mine, O Lord"とあります。「主よ、私の選ぶ道ではなく」という意味です。ボナーはスコットランドの牧師で、国教会化して形骸化し、霊的生命を失っていた教会に再び力強い霊的生命を吹き込もうとした人でした。
悩みに沈むとき、私はこの讃美歌を口ずさむことによって、霊的力を与えられてきました。「いかに暗く険しくとも、御旨ならば我いとわじ」(1節)、「ゆくてはただ主のまにまに」(2節)、「喜びも悲しみも、満たし給うままにぞ受けん」(3節)、「この世を主に捧げまつり、神の国となすためには」(4節)、このような歌詞が心に響いてきて、悔い改めが起こり、新しい力が湧いてくるのを感じるのです。
およそ悩みというのは、願望が増長される時に起こります。主の道ではなく、自分の道を突き進もうとしていると、必ずガツンと打ち砕かれるのです。そして、この讃美歌を歌いながら、再び「主よ、私の選ぶ道ではなく、あなたの道を行かせてください」という気持ちにさせられると、不思議と「神様がしてくださる」という希望が湧いて来て、再び元気が出てくるのです。この讃美歌は、現在のところ、私のお葬式に歌ってもらいたい愛唱歌のナンバー・ワンです。
さて、個人的な話しに終始してしまいましたが、これは歌詞ばかりではなく、曲もたいへん美しい讃美歌です。原曲は、ドイツのオペラ作曲家カール・マリア・フォン・ヴェーバー作『魔弾の射手』序曲の中の「ジュエット」という曲です。また、日本にはこの讃美歌の曲を使った「別れの鳥」という明治唱歌があるそうです。
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