■ 別れていくオルパの心
固い愛の絆で結ばれたナオミと二人の嫁(オルパとルツ)ですが、ナオミの再三の説得により、オルパはナオミに別れの口づけをし、涙の別れをしました。しかし、ルツはなおもナオミにすがりついて、決して離れようとしなかったと書かれています。
なぜオルパはナオミと別れ、ルツは残ったのでしょうか。私はオルパがルツよりも薄情な女であったとは思いたくありません。オルパは、きっと自分がナオミの重荷になることを恐れたのではないでしょうか。自分が身を引いたほうが、ナオミの心の負担を軽くするのではないか。ナオミの幸せを願えばこそ、オルパは身を引いたのではないでしょうか。
そう考えますと、ナオミにしがみついて離れないルツよりも、オルパの方がずっと「大人の考え」をもっていたと言えなくもありません。
■ 愛には色々な形がある
だからといって、ルツが子供っぽかったという事ではありません。愛というのは誰もが同じ形で表現するとは限らないということなのです。オルパの愛は、オルパの人格から溢れ出てくるものであって、それはそれで打算を越えた真実の愛であったと認めていいのではないでしょうか。
■ 愛だけではなく
しかし、いくら真実の愛であっても、人間性だけから出てくる愛には限界があります。人間の心にある親切や思いやりは素晴らしいものです。でも、それだけでは神の愛を全うすることはできないのです。
オルパとルツには人格的な違いだけではなく、もっと決定的な違いがありました。それが信仰です。オルパは「自分の神のもとに帰っていった」(15)と言われています。オルパにとって「自分の神」とはモアブの神、すなわち偶像です。それに対してルツは「あなたの神はわたしの神」と、ナオミの神、つまり真の神への信仰を持って、ナオミと同じ道を行こうとしていたのです。
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